これでも・・・トレジャーハンターですから

「はぁ・・・どうして私がこんなことを・・・」
店長「おい!サボってんじゃねぇ!」
「はぅ!すいません・・・」
街のはずれの定食屋。しかも昼時・・・となれば自然と客足も途切れない。
ということは、皿洗いのバイトしてる私の仕事も当然忙しくなるわけで。
「さ・・・さすがに何回もこんなことしてると慣れるわね・・・。慣れたいわけじゃないんだけど」
そうなのだ。トレジャー・ハンターなんぞをやっていると世界中を飛び回らないといけない。とすれば、どうしても先立つものが必要になってくる。
でも、そんな都合よくお宝が見つかるわけもなく・・・。こんなバイトで食い扶持を稼ぐハメになってしまうのだ。
「ふぅ・・・こんなことしてる間にも世界のお宝や珍品がどんどん掘り起こされていくのよね・・・。せめてもっと時給がよければねー・・・」
ちなみに、この店では皿洗いのバイトの時給は780ラクル。・・・悲しいほど少ない。
まぁ、私みたいなトレジャー・ハンターはある程度お金が貯まったらすぐにお宝を探しに行くんだけど。それでも、多く稼げるならそれにこしたことはない。
「さて・・・このお皿で昼食の分は終わりっと・・・」
最後の皿を洗い終え、きれいに並べて休みに入る。
一日で一番店が混む時間が過ぎ、客は数えるほどしかいない。
少し静かになり、落ち着いたので今までに貯めたお金を勘定してみる。
「えーと・・・とりあえず節約すれば一ヶ月は生きていけるよね・・・。んじゃ、そろそろ動き出す時期かな」
一日に10時間働くという無茶をしたおかげでそれなりには貯まった。
これで、お宝の情報でもあれば・・・。
「ってそれが無いから困ってんだよねー」ため息を一つ。
「仕方ないな。ここは人も集まるし、情報が手に入るまで少しでもバイトしておくか・・・。まぁ、バイトは今日で終わりだけどさ」
・・・あぁぁ、ずいぶんと商人根性を叩き込まれちゃってるよ。
そんなことを考えながら、とりあえず夕方まで休むことにする。
         ―時間は止まることなく進み続ける―