何が起こるか珍道中

 
テントの隙間から入ってくるまぶしい陽光に目が覚める。
「ん。もう朝かぁ・・・」
少々疲れを感じるが、仕方ない。
まだ眠さが残る目をこすりながら体を起こす。
「んー、いい天気ね。こりゃ旅立ちにはもってこいかな」
空は雲ひとつない快晴。雨が降ることなんて万に一つにもないだろう。
「さて・・・朝ごはんの準備でもしますか」
といったものの、材料がほとんどないことに気づく。
「あちゃー。朝は店でなんか買うか」
こういうことは諦めが肝心なのよね・・・。はぁ。
少しブルーな気分になりながらテントをたたみ、荷物を手早くまとめる。
「今日でここともお別れか〜。なんかさびしい気もするわね」
何度このセリフを言ったことか。町を出るとき毎回言ってる気がする。
「やっぱり長く滞在するのはよくないわね。なんか愛着わくし・・・」
ん?ということは、だいたいの町で長く滞在してるってことで・・・。
「・・・・・・早くお宝見つけよう」
と、なんとも悲しい気分で新たな決意をする。しくしく。
「さて、そろそろ店も開くころかな。町に行こうか」



町に到着。ただいまの時刻AM9:30
「さて、なんか食べ物を売ってそうなところは・・・と」
きょろきょろと町を眺める。バイト尽くしで町なんてほとんど回ってなかったのだ。
「ん〜・・・あそこでいっか」
適当な店を見つけたので、入ってみる。
そして適当に注文して、適当に食べて、店を出る。
「さて・・・あとは数日分の食料と水を買うだけかな」
小さいながらもなかなか盛況している商店街で買い物も済ます。
「・・・・・・よし。こんなもんか」
やっと準備が終わった。え〜と、今は10:43ね。
今から出発して、夕方まで歩くとして、バネスまでの1/4はいけそうだ。
「さて、バネスはここから南西の方角ね。よし。行きますか!」
テクテクテクテクテクテクテクテクテクテク・・・・・・。
朝を食べるのが遅かったので、昼食時も歩き続ける。
テクテクテクテク・・・・・・・。
「なんというか、ここまでなんにも起こらないってのはつまんないわね。まぁ、面倒に巻き込まれるのもどうかと思うけど」
そんな独り言を言いつつ、歩き続ける。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
今日の目標地点まで何も起こらず到着。
「・・・まだ夕方ってほどじゃないわね・・・。いつもならなんか出てくるから夕方までに着けばいいほうだと思ってたけど・・・。拍子抜けね」
しかしさすがに疲れたので、一休みをするとしよう。
水で喉を潤しながら、まわりの様子を見る。
草原。ちょっと道を外れれば小さい森がある。そんななんの変哲もない景色。
「今日の予定地点には着いたし、ちょっと森へ行ってくるか。そろそろアレも切れるころだし・・・」
よいしょっ、と腰を上げて歩き出す。森に向かって。
「けっこうあるわね〜。今のうちにたくさん集めておこうか」
そこらに生えてる草を選びながら集める。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
「ふう・・・。一時間くらい経ったかな?」
空を見ると少しずつ赤みを帯びている。そろそろ太陽も沈むころだろう。
「さて・・。暗くなる前に戻らないと・・・」と思ったのだが。
「どうやら何かいるようね。さて、どうしようか・・・」
この時間帯に気配を感じ始めたのだから、たぶん夜行性の“なにか”だろう。
しかし、その“なにか”も警戒しているのか、なかなか出てこない。
「チャーンス。今のうちに準備をしておこう♪」
さっき集めた草やらなにやらをちょっといろいろして、粉末にする。
こちらが何もしないので、“なにか”も気が大きくなったんだろう。今にも姿を現しそうだ。
「よし・・・。こんなもんでいいかな」
準備も終わり、出てくるのをじっと待つなんてことはしない。
時間かかりそうだし。暗くなる前に帰らないと、私でも少し迷うかもしれないし。
「おーい。その辺に隠れてる誰かさん。出るならさっさと出てきてくんない?私も暇じゃないのよ」
と、“なにか”に呼びかけてみる。
そして・・・“なにか”は姿を現した!